カルビ、バラ、サーロイン、ヒレ、ランプ…これらの牛肉の部位の名前は焼肉屋さんをはじめステーキハウスなどの飲食店のメニューで目にする事が多いと思います。
仕入れ段階でもその辺りの部位は認知度が高く、人気がある部分です。
ではモモ・ウデ・スネという若干馴染みがない感じのする部位とはどんな肉なのか?
実はみんなが知っている&食べている部位なので、改めてご紹介していきます!
モモ=ランプ肉!実は馴染みある部位
別記事でもご紹介した『ランプ』という部位は、モモ肉のことを指します。
モモの部分は4つの部位に分ける事ができて、それを全部ひっくるめてランプと呼ぶ事が多いです。
ランプとイチボを合わせて『ランイチ』と呼びますが、ここの部分がランプ肉としては有名どころかもしれません。
ここではさらにランイチ以外のモモの部分を合わせて全体について紹介したいと思います!
4つの部位というのは
・ランイチ
・ウチモモ
・ソトモモ
・シンタマ
という名称で呼ばれています。
ランイチ
聞いたことのある方も多いと思います、ランイチです。
牛のお尻の方に位置する部分で、ヒレやサーロイン寄りが『ランプ』お尻の先の方が『イチボ』です。
肉質が良くて柔らかいのが特徴で、旨味がしっかりと感じられる部位となります。
ランプステーキとして人気があるのはもちろんですが、ローストビーフや牛肉のタタキとしても人気があります。
イチボは食肉全体から1.5キロほどしか取れない希少部位でもあり、深い味わいとコクが特徴です。
赤身の強い肉はワインなどのお酒とも良く合います!
なのでステーキハウスだけでなく肉バルやワインバーなどにも人気があって、多くのご注文をいただいています。
ウチモモ
ウチモモは脂が少ない部分ですが、それでも柔らかいのが特徴です。
均一な肉質の塊を切り出す事ができるので、ローストビーフなどに向いています。
モモの肉はどの部分も全体的に赤身のお肉です。
ソトモモ
ソトモモは後ろ足の付け根の部分に位置します。
ちなみにウチモモはソトモモよりも内側にある部分です。呼び名のままですね。
牛の脚の付け根は必然的に運動量が多い部分なので、やはりソトモモも脂は少なく赤身の肉質です。
味はあっさり系で、ウチモモと同じように肉質が均一な肉の塊を取る事ができます。
牛の体の外側の部分は脂が厚く、体を脂で守るようになっています。
ソトモモは後ろ足の外側に位置しているのでソトモモの中でも1番外側にある部分は脂が厚いです。
モモは赤身が特徴的な部位ではありますが、赤身だけではなく旨味のある脂も一緒に楽しめる肉質の部分もあるので、モモの中でも目的や用途によって仕入れる箇所をしっかりと選ぶのをススメします。
脂のある部分でもモモはサッパリした味わいで食べる事ができます。
シンタマ
赤身で柔らかく、肉質はウチモモと似ています。
別名『マル』とも呼ばれます。
『シンシン』と呼ばれることもあり、シンシンは主にシンタマの真ん中の部分です。
シンタマは赤身肉が好きな方にオススメの部位で、焼肉の他にローストビーフにも使われます。
『友三角』と呼ばれる部位もシンタマから取れる部分で、赤身のモモ肉の中ではサシが多めに入っています。
脂の甘みや柔らかさも感じられますが、モモ肉なのでサッパリしているというのが特徴であり魅力だと思います。
特徴豊かなモモはしっかり吟味しよう!
モモは赤身が特徴ということですが、各部位ごとにさらに特徴が異なります。
なので「何に使うのか?」に合わせてしっかりと部位を選ぶのは重要です!
ステーキなのか、ローストビーフなのか、焼肉なのか、煮込み系なのか、鍋物なのか…
幅広く対応できる部位なので用途に合わせて上手に使ってみてください。
ウデは肩とも呼ばれる赤身系の肉質
ウデは前足の付け根の辺りに位置していて、周辺は肩ロース・リブロース・トモバラ・肩バラなどの脂がのった部位に囲まれています。
運動量が多い部分なので赤身が強く、ゼラチン質も多い肉質で歯ごたえもしっかり感じられる部位です。
ウデは肩ロースと合わせて『肩』という分類で呼ばれることもありますが、ここでは肩ロースとウデは分けてご紹介します!
トウガラシ=トンビ
トウガラシは別名『トンビ』とも呼ばれる部位で、全体から2キロ程度しか取れない希少な部位です。
同じ赤身系の肉でもウデよりモモの方がより赤身がちでサッパリした肉質ですが、このトウガラシはモモのような肉質なのでかなりサッパリとした味わいです。
弾力のある噛み心地もしっかりあります。
焼肉屋さんのメニューで見かけた事がある方もいるかもしれません。
ミスジ=ひうち
ミスジは運動量の多いウデの中ではサシが多く入っている部位です。
脂の量が多いながらも食感があって、カルビなど脂がのった部位とはまた違った味わいがあります。
大きなスジが入っているのが特徴です。
スネは煮込みにうってつけの旨味部位
スネ肉というと、“硬くてそのままじゃ食べられない肉”という認識が一般的だと思います。
スネは牛の脚・ふくらはぎの辺りの部位なので運動量が多くて筋肉質なので、確かに硬い肉です。
そんなスネの部分は基本的に他の牛肉の部位よりも安価に仕入れる事ができ、小売店やスーパーでブロックになった肉を買うこともできます。
やはり牛スネと言えば煮込み料理ですよね!
シチューやカレーなどでしっかりと煮込むとトロトロでとても美味しくなります。
スネの部分はコラーゲンが豊富で、煮込めば煮込むだけ旨味が溶け出します。
フランスなどヨーロッパの国ではたっぷりのワインでじっくりと煮込む、牛スネ肉のワイン煮というのが古くから家庭料理として親しまれています。
洋食屋さんやランチ営業の際の煮込み料理にとても便利に使える部位だと思います。
牛スジも煮込みにうってつけ!
牛スジは多くの方に馴染みがある部位ではないでしょうか。
『牛スネ』と『牛スジ』の違いは簡単に言うと“スジがあるか無いか”です。
牛スジは牛のアキレス腱の部分のことを言うので、似ているようで牛スネとは違います。
アキレス腱の部分と腱のついた肉のこともスジ肉と呼びます。
コンビニのおでんで“牛スジ”というメニューも見かけますよね!意外と身近な部位なんです。
牛スジの特徴は煮込むと良い出汁が出て、旨味がたっぷり詰まっているという事。
煮込んでいくと臭みが消えて美味しくなり、さらに牛スジ自体も柔らかくなっていきます。
スネと同様に煮込み料理に向いている部位です。おでんや牛スジ煮込みとして提供される事が多いと思います。
新鮮さと肉質の良さが味に直結!
牛スネも牛スジも他の部位に比べたらマイナーな部位と言えるかもしれません。
ただ、この部位の品質はロースやバラ、モモ、サーロイン、ヒレといった肉の部位の品質と完全に直結しています。
マイナーだし、煮込んじゃうし、どの牛のでも同じかな。とはなりません!
品質によって臭みや硬さが全然違いますし、当然ながら新鮮で上質な肉が取れる牛のスネ肉やスジ肉の方が上等です。
冷凍モノではなく新鮮なものの方が臭みがなくて美味しく調理する事ができるので、仕入れる時は信頼できる食肉卸し業者を選んで肉を選ぶことをオススメします。
【番外編】テール=尻尾の食べ方
『テール』といえば牛のしっぽですね。
テールを使った料理といえばやっぱり“テールスープ”ではないでしょうか。
牛のしっぽは運動量がとても多いので筋肉が発達していて、そのため肉質は硬いです。
そんなテールの部分はコラーゲンが豊富なのも特徴で、煮込むと良い出汁が出てくれます。だからスープとして使われる事が多いんですね。
ちなみに牛テールは一般的なスーパーマーケットなどでも購入する事ができるので、最近は家庭料理に使う人も増えているような気がします。
定番のテールスープの他に、シチューやカレー、トマト煮、ワイン煮などの煮込み系、他には焼肉で食べる事も。
旨味たっぷりで煮込めばホロホロになる魅力的な部位です。
新鮮で上質な肉ならご相談ください!
モモのようにパーツごとに特色が変わる部位の選び方に迷ったら、ぜひ食肉のプロにご相談ください!
目的や欲しい物に合わせてご提案いたします。。
モモもウデもそれぞれのパーツを最適な方法で使えば料理はより美味しくなりますし、何より食肉は鮮度がものをいいます。
牛スネや牛スジについても質と鮮度が重要とご紹介しましたが、ぜひ信頼できる業者と納得のできる取引き・仕入れをして、皆さんに肉を美味しく食べていただければ何よりです。
次回は牛の内臓系についてご紹介したいと思います!